4つの視点

前々回は要件定義には構造があり、その構造に従って要件定義をすることで網羅的で整合性のとれた要件定義をシステマティックに行える という話をしました。前回は「要件定義のに必要な情報」ということで、ざっくりと要件定義において定義する情報を示しました。

今回は前々回と前回の内容を踏まえてその4つの視点毎の定義する内容を説明します。

もう一度4つの視点の役割を以下に示します。

1.システム価値
システムを使った業務や作業が実現すべき目的、目標を明確にする

2.システム外部環境
システムを使用する環境もしくはシステムが使われる場面を明らかにし、システムを取り巻く状況を明確にする。

3.システム境界
システムとの接点を明らかにし人とシステム、外部システムとシステムのインターフェースを明らかにする。
人とのインターフェースをユーザインターフェースとして整理し、外部システムとのインターフェースをシステムインターフェースとして整理する。

4.システム
システムが実現する機能とデータ、ドメインを明らかにする。

上記4つの視点毎に定義する情報を当てはめます。

1.システム価値
コンテキストモデル
内容:
  アクターとその責務
外部システムとその役割
システムの目的
表現方法:ユースケース図を拡張したもの
要求モデル
内容
要望:ユーザからのヒアリング結果
要求:要望を整理し、粒度や網羅性を調整したもの
要件:ステークホルダーとして認識すべき要求
表現方法:短い文が書ける独自アイコンを利用

2.システム外部環境
業務モデル(業務フロー)
内容:アクターが関わる作業を明らかにし、個々の作業の流れを把握する
表現方法:アクティビティ図

利用シーン
内容:アクターがどのような場面でシステムを利用するのかをシナリオ風に記述する
表現方法:短い文が書ける独自アイコンを利用

概念モデル
内容:システムを取り巻く環境の中で認識されている重要な概念を構造化し視覚化する
表現方法:クラス図

3.システム境界
ユーザインターフェース
ユースケース
内容:UMLユースケースを利用
表現方法:ユースケース

画面・帳票
内容:画面と帳票に代表されるユーザインターフェースの入出力情報
表現方法:クラス図

イベント
内容:外部システムとの通信もしくはファイルなどによるデータの受け渡し
表現方法:送信アイコンとクラス図

プロトコル
内容:上記イベントをトリガーとしてマッピングしイベントのタイミングを明らかにする
表現方法:ステートマシン図

4.システム
機能
内容:ソフトウェアとして実現する機能を表す
表現方法:アクティビティ図  アクティビティアイコンを羅列

データ
内容:システムが必要とするデータ
表現方法:クラス図

ドメイン
内容:システムが対象とする問題領域の構造
表現方法:クラス図


上記のモデルを作成し要件定義とする。

4つの視点はそれぞれに役割があり、その役割を明確にするためにUMLモデルを使って表現する。そして4つの視点には、システムがシステム境界に、システム境界がシステム外部環境に、そしてシステム外部環境がシステム価値に依存している。従って、各視点内のモデルも同じように依存している。

RDRAでは依存関係を利用して新たな情報を導き出し、整合性を維持している。具体的にはその依存関係を利用して各視点のUMLモデルの洗い出し、整合性維持を行います。

次回以降そのつながりを見ていきます。