業務フローは何をフローとして表しているのか

普段業務に関わっていない人間が業務を理解することは大変なことである。
同時に要件定義を行う人間が業務に関われることはほとんど無い。
同じく現場の人間が要件定義に関わることもだんだん難しくなっている。

そのような中でシステムを開発する人が業務を理解するためにはどのようにするといいのだろうか。

RDRAではシステムの外部環境を明らかにするために業務フローを作成する。
その目的はシステム境界を求めるためである。つまり、システムがどのように使われるのかを洗い出すために業務フローを作成する。

人が行う作業というものはなかなか規定するのが難しいものである。
人は臨機応変にそのときの状況に応じて作業を行うので「必ずこの手順で行う」というふうに規定できない。
医療関係など人の命に関わる場合や、工場などの組み立てに手順が要求されている場合は作業標準として厳密に手順が決められているものがあるが、通常の作業は明確な手順が決められていない場合がほとんどである。

しかし、そのような中にあっても業務フローを描くための手がかりは存在する。
一つは組織に着目することである。
組織をまたがって仕事を進めている場合は、部門間に決まり事があるはずである。
例えば、お金に関わることは経理などに受付が用意され、商品の発送は在庫を管理している部門が商品管理の窓口を持っている。従って、一般的なビジネス系の業務フローはそれらの部門間の作業連携の様子を時系列に表すことになる。

もう一つは伝票などのように具体的に目に見えるものを扱っている場合である。その作成や受け渡しなどが、作業を洗い出すきっかけを与える。従って、そのようなものに着目するのも有効な方法である。

また、何のフローを描くかということが重要である。わかりやすい例として販売管理の業務フローがある。
通常販売管理の業務フローは商品の選択そして受注から、入金、出荷、そして手元に商品が届くまでのフローになる。
業務フローとして何を描くかという鍵はここにある。つまり、上記の例でいうと、顧客に商品を販売することが販売管理システムにとっての価値である。その価値を実現するための一連の流れを業務フローとして描いたものが業務フローとなる。
業務フローには必ずそのフローが実現したいことがあり、それが価値につながる。

その価値に着目するとどの業務フローを描けばいいかが見えてくる。

この視点をもって業務フローを記述するのが業務を理解する早道である。