8月7日 産総研の包括フレームワーク
大規模システムへの適用とプロセスの話もあるということで興味をもった。
ここ数年大手のユーザ企業さんでコンサルする機会を得ていたので、大規模システムのそれも再構築案件にはとても興味がある。
市の基幹システムの再構築は既にプロジェクトが開始されており現在は要件分析プロセスが始まっているようである。
私が理解した範囲での包括フレームワークの狙いを以下に示す。
1.ベンダーロックインの排除
2.顧客要件の確実な実現 (誤認識の防止)
3.健全な競争のための基盤の実現
この狙いを実現するための戦略は以下の3つである。
1.ベンダーロックインの排除
アーキテクチャを発注者側で策定する
→ 産総研・包括フレームワークを利用
→ 産総研が市側に技術支援する
開発工程を細かく分割し中小のソフトウェアハウスの参入も可能とする
→ FDDをベースに大きく5つの工程に分け工程毎に調達をかける
プロジェクトの規模・特性に応じて調達の単位を変える
→ 前工程を受けたベンダーは次の工程を受けられないなどの配慮を行う(例えば)
2.顧客要件の確実な実現 (誤認識の防止)
要件仕様の責任は発注者がもつ
→ この時の要件仕様は業務フロー、ユースケース、画面
例 基本設計プロセスで要件分析プロセス工程の仕様のミスが見つかったときは
その仕様を承認した発注者側に責任がある。
基本設計の成果物は業務フローなのでその内容の責任は発注者側が責任をもつべき
という考えかた
3.健全な競争のための基盤の実現
ベンダー依存しない技術(OSSの標準的な技術)をベースにアーキテクチャを策定する
基本的なアーキテクチャは発注側で策定する
などなど 大手ユーザ企業においても適用可能な戦略が示されている。
しかし、市とユーザ企業との最大の違いは以下のトレードオフについての考え方にあると思われる。
工程毎に調達を分けるのはリスクを伴う
リスクを伴っても健全な競争をとるか 否か
これらを狙い通り進めるには体制作りとプロジェクトのオペレーションにかかっている。
次回はそこに触れたいと思う。