方向性を決めるために
ここ数回みんなで考えることをテーマに書いてきましたが、今回はシステムの方向性を決めるための進め方について書きます。
システム化の方向性とは開発するシステムの目的や価値などに結びつく思考のパターンや問題解決の決め方です。
要件を定義していく中で、ある問題が発生しその解決策の候補としていくつかの候補が出てきた場合には、この目的に照らして有効な候補を選択します。
このように解決策の中でも目的や価値に沿ったものを選択していくことが方向性を決めます。
方向性が決まっていると意志決定が早まります。
しかし、いつも目的や価値に沿った問題ばかりとは限りません。同じく目的や価値に間接的にしか関わらないものもあります。
そのような場合には単純に目的に沿う方ということで判断できません。
このような時は高所大所なマクロの視点からの判断が必要となります。
しかし、問題はミクロな視点から出ることが多く、その問題解決には両方の視点が必要になります。
従って要件定義のメンバーにはマクロな視点をもつ要件定義のリーダーやユーザ部門の管理者、ミクロな視点をもつ要件定義担当者や現場ユーザなど複数の視点をもった人たちで議論することが必要です。
ただユーザ部門の方に来ていただくのはなかなか難しいので要件定義メンバーの中でマクロとミクロの視点で議論することが重要です。
いずれにしてもいろいろな細かな問題や大きな問題など一つ一つの問題について目的や価値を意識して判断していくことが方向性を決めることにつながります。
つまり、方向性として明文化出来るものは方針として示し、明文化出来ないものは決め方の経験として共有されます。
そして「こういう問題はこう解決する」「あの問題はああだったので、この問題はこうだ」というように決め方に共通的な考え方が要件定義メンバー間で生まれてくれば方向性が出てきたことになります。
このようにシステム化の方向性とは、いくつもの問題を解決していく経験を共有し、その中から作り上げられる文化のようなものです。
この文化が共有されるとプロジェクトでの様々な決定が、ある一定の方向に向けられます。
こうなると個人で作業を行ってもブレが少なくなります。
従ってこの文化が根付くまでは共同で要件定義を行うことが重要です。