受託開発は本質的に効率が悪いのか
以下のブログが大変面白かった。
受託開発が抱える本質的な非効率性に関する考察 - GeekFactory
この主張にはまったく賛成でその通りだと思う。
また膨大な時間をコミュニケーションロスで費やしている大規模プロジェクトをいくつも見てきた。
しかし、しかしである。
受託開発が本質的に非効率 か というと そんなことはないのではないかと考えている。
私は過去に自分の家を設計し、そのときに建築家さん施工屋さんと話し間取りの話をし、実際に家ができる現場も見ている。
その後も何度か建築家の方と話す機会があり、鉄骨造りの家と木造作りの家については結構知識を得た。
そこから強く思うのは注文住宅を作ることと受託のシステムを開発することは大変共通点が多いということである。
注文住宅を建てる場合大きく分けて二通りの方法がある。一つは大手のハウスメーカーに頼む方式、もう一つは建築家と施工屋さんに頼む方式である。
どちらにしろ、施主が自分で建てるわけではない。
ログハウスやキットで家を建てることはできるが、一般的ではない。
つまり受託である。
注文住宅でも「建ててみたら思った通りの家になっていなかった」という話はよく聞く。
しかし「ハウスメーカーや建築家に依頼することが本質的ではない」という論調は聞いたことがない。
施主が作った家など住めたものではないと思う。
特に北海道ではよほどの腕がないかぎり、冬は寒くて住めない家になってしまうだろう。
建築の場合は思った通りの家ができないから自分で家をつくる。 ということにはならない。
システム開発でも同じではないかと考えている。
ただ、仕様化が決定的に遅れているという印象をもつ。
ハウスメーカーは設計と施工を同一会社で行うことが多いので、その会社毎の方式で進められる。
建築家と施工屋の場合でもほぼ決まった何種類かの図面を使って仕事を進めている。
しかし、家の場合でも完全に仕様化できているわけではない。
図面に書き表せないことがたくさんあり、その場で確認しながら進めていることも多い。
それでもシステム開発よりは仕様化が進んでいる。
話をもどして
注文住宅が受託でできており本質的な問題にはなってない以上、システム開発も受託開発が本質的に非効率 ということは絶対にないはずである。
やはり、今の受託開発のやり方がまずいのである。
何がまずいかは整理していないが、ユーザがシステム開発した方が効率がいいというのは間違っているように思う。
追伸
しかし私もコンサルのときには内製化を勧めることが多い。
ユーザ企業もしくは情報子会社などで開発に関われる組織をもつ企業では内製化の方が現状ではリスクが低いと考えている。